有無をはなるとのべたまふ 平等覚に帰命せよ

皆様こんにちは。浄土真宗 尼崎市 武庫之荘 真光寺 楠木光雲です。

最近は地震や大雨、また暑さというように災害や異常な気象が続いております。

私たちは年の初めに、どこかで順調にいきますようにと願っていたのではないでしょうか。

しかし、世の中一寸先はどうなるかわからないというのが現実です。

このような大きな出来事が続いて混乱しているときにこそ、今一度大切なことを再認識しておくべきだと思います。

順調という言葉は立場や年代によって表現が異なります。

たとえば、順調という言葉を仏教の言葉に換えればどんな言葉になるでしょうか。

実は面白いことに「図に乗る」という言葉になるのです。

現代では悪い意味で使われることしかないと思いますが、実のところ昔はとても良い意味で使われていたそうです。

図とは、楽譜、音符、音階、節などを表していました。

つまり、楽譜通りに音を出すことが出来たならば「あなたはとても図に乗れていますね」というように褒められたそうです。

順調という言葉は仏教においては図に乗るという言葉に変換されるのです。

では、現代の若者はどのように順調という言葉を表現しているのでしょうか。

現代の若い方々は「勝ち組」という言葉をよく使っているそうです。

「勝ち組」とは何を指して言う言葉でしょうか?

会社や学校で目立っている人、コミュニケーション能力が高い人、容姿が整っている人、良い学校や良い会社に所属している人、お金をたくさん持っている人・・・。

まだまだあるかもしれませんが、このようなものを指して勝ち組と言っているのではないでしょうか。

そして、それとは反対の人たちのことを「負け組」と言ったり、思ったりするのです。

これはとても極端な物事の見方で、魅力的な物事の見方とは言えないと思います。

ご和讃に「解脱の光輪きはもなし 光觸かふるものはみな 有無をはなるとのべたまふ 平等覚に帰命せよ」とお示しくださっています。

特に「有無をはなるとのべたまふ 平等覚に帰命せよ」というお言葉に着目していただきたいです。

噛み砕いて申し上げますと、そのような極端なものごとの見方から離れて、平等にみることが出来るお心をいただきましょうということをお経は伝えてくれているのです。

仏教の発祥の地はインドですが、インドのご挨拶はとても素晴らしいお心が込められています。

お聞きになられたことがあると思いますが、「ナマステ」というご挨拶をインドでは致します。

「ナマス」はお敬いしますという意味です。

そして、「テ」が、あなたということを意味します。つまり「ナマステ」は、あなたをお敬い致します、というご挨拶であるということです。

容姿、学歴、年齢、性別、経験など一切問わず、あなたのことを尊い命であると思ってお敬いさせていただきます、という大変有難いご挨拶なのです。

競争社会、比べてしまう世の中で生活を送っているからこそ、このお心を大事にさせていただきましょう。

何が大切なのかわからなくなってしまうぐらい大きな出来事が続きます。

今一度、このお心を自身の柱としていただければ幸いです。

 

 

南無阿弥陀仏

 

浄土真宗本願寺派 真光寺

兵庫県尼崎市南武庫之荘1丁目8番5号

阪急武庫之荘駅南側 徒歩3分

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