こんにちは。尼崎 武庫之荘 真光寺の楠木光雲です。
本日は、煩悩とはどのようなものなのかについてお話しをさせていただきます。
『精読・仏教の言葉 親鸞』梯實圓（大法輪閣 ２０１２年）にはこのように記載されています。
煩悩とは、貪欲・瞋恚・愚痴をはじめ、自分の心を汚染し、他者を傷つけ、自他と もに苦悩の淵に沈めていくような、さまざまな醜い心の働きを言う。身と心をわずらわせ悩まし乱すものだからである。
また、『如来のはたらきと報恩のこころ』利井唯明 天岸淨圓（自照社出版 ２０１０年）にはこのように記載されています。
私たちは必ずと言っていいほど、自分が主人公なのです。「私中心」なのです。結論から言えば、私を中心とする事こそが根源的な「煩悩」だということです。煩悩と言ったら、腹を立てたり、物が欲しいという具体的なことを思い浮かべますけれど、煩悩というのは私を中心にするところから始まるのです。私の好きなもの、嫌いなもの、どうでもいいもの。私のいる場所を「ここ」といい、私から離れれば「そこ」「あそこ」と言うように、常に私というものを中心に考えるものなんです。皆さんがおられるところを、私は「そこ」っていいますが、皆さんは自分のいるところは「ここ」って言うでしょ。おもしろいのは、「そこ」という場所を指させても、「そこ」という場所には行けないんです。なぜかって言いますと、「そこ」に行った瞬間に「ここ」になるからです。私がいる場所は常に「ここ」でしょ。右に行ってもここ、左に行ってもここ。常に私を中心にしているんです。これが根源的な煩悩だというのは、私にとって好きなものは、当たり前のように欲しがる。自分の欲しているものを他人が持ってたら、うらやみ、ねたみそねみが起こってきます。嫌いなものは排除しようとします。そこで自分に対して抗ってきたら、腹をたてます。私にとってどうでもいい事には無関心、冷淡になります。私を中心に好き・嫌い・どうでもいいと分別をして、そこからその欲求を満たすために様々な煩悩が枝葉のようにでてくるのです。みんな例外なく自分を中心にしているんです。意識したことないでしょう。生まれてこのかた、自分中心であることは当たり前のことですもんね。でも、それが衆生の本質、根源的煩悩を具足しているということなんです。
煩悩は腹を立てたり、物がたくさん欲しいという小さな枠組みではおさまり切りません。自分を一番に（中心に）物事を考えてしまうということから次から次へと湧き上がってきます。
煩悩を滅することがいかに難しいか分かっていただけたかと思います。
むしろ、煩悩を持っていることにさえ気付くことが出来ない私たちであります。
そして、煩悩に気付いたとしても、親鸞聖人や法然聖人が煩悩を消すことが出来ないと言うのと、私たちが煩悩を消すことが出来ないと言うのでは、煩悩の質自体、天と地の差があるのです。
あれだけエリートな方がおっしゃるのですから、私たちには到底不可能に近いでしょう。
祖師方のおっしゃる通り、阿弥陀様のご本願を素直に聞き受けるべきです。
煩悩具足の私たちこそを必ず見捨てることなくおさめとる方が、阿弥陀様であります。
南無阿弥陀仏
浄土真宗本願寺派 真光寺
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